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目標管理制度(MBO)の罠

皆さんこんにちは。
前回は、評価制度の基準について、その仕組みと実態の乖離や難しさについて触れましたが、今回は、評価制度の対象である「個人の業務目標」について同じような観点から考えてみたいと思います。

 

目標管理制度(以下MBO)は、欧米の制度だと思うのですが、そもそも、その組織(企業)の目標を構成員である一人一人のスタッフに展開するために考えられたものであろうと思います。

理論上は、全スタッフが個人の目標を達成すれば、組織ひいては企業全体の目標を達成できる、という素晴らしいものです。

ところがこのMBOが機能しないというご相談を多くいただきます。

 

機能しないとはどういうことかというと、上司が目標を設定し、スタッフに伝え、やる気をあげて、チーム一丸となって目標に邁進するには、相当の労力(コスト)がかかり、特にこのコミュニケーションコストそのものは当たり前ですが、1銭も収益を生まないわけです。

 

本来であれば、このコストから生まれるであろうエネルギーや組織の効率性を期待するわけですが、それがうまくいかない理由はどこにあるのでしょうか。

 

ひとつには、「目標の固定性」が時代の変化に合わなくなってきたのではないか、と私は考えています。
大企業ともなれば、人事部からこうしたマネジメント業務の案内をおこない、実行をフォローし、スタッフのモチベーションをチェックするには相当の時間と工数がかかるでしょう。下手すると全社の面談業務が終了するまでに3ヶ月も4ヶ月もかかることがあるそうです。これでは、面談終了時には、世の中や顧客のニーズそのものが変わってしまう可能性もあります。

 

顧客の求めない仕事を全スタッフが一丸となっておこなったとしたら、それはとても奇妙なことといえます。この変化の激しい時代に、顧客とスタッフの間に「社内の人事制度」という壁があり、それが収益を押し下げているという笑えない話も聞きます。

 

そういう意味で、私は目標はシンプルで、かつフレキシブルなものが良いと思います。上司が多大な工数をかけて、詳細な目的を作れば作るほど、スタッフは顧客のニーズから離れてしまうかもしれないのです。

 

もうひとつの要素として、私は若手の個人主義(社会性の欠如)が影響しているように感じます。彼らにとって、業務目標が組織目標の展開という原則を離れ、個人のキャリアにおいてメリットがあるかどうかで考えられるケースが多いと聞きます。

 

本当にそうであれば、個人目標の達成が、必ずしも組織目標の達成には繋がらない、という皮肉なことが起き得るのです。

 

この点からも、個人目標を詳細に固定したり、個人の能力開発ばかりを強調するのは反対です。

組織への反映という観点を忘れ、個人主義を助長することになりかねないと思うからです。

樋口弘和

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