ケーススタディー

社員研修ナビHOME > コラム > 過去の成功体験が通用しない管理職

過去の成功体験が通用しない管理職

最近はセミナーや研修で、若手の部下を持つ管理職の方々とお会いする機会がとても増えました。採用や定着の問題を突き詰めていくと、それらの主体(責任者)である管理職の方々を避けて考えることはできません。私が始めて管理職に登用されたのは、もう20年ほど前ですが、以前に比べて、昨今の管理職の方は格段に負荷が高いように感じます。今日はそのあたりのお話をします。

 

何が変わったか。まず環境に目を向ければ、大きく二つのことが考えられます。ひとつは日本の経済力の向上とそれに伴う対ドルレートの上昇です。20年前に比べて、大雑把に言うとドルベースの私たちの給与は2倍強高くなっています。つまり、世界で同じ競争を世界中のマーケットですると考えると、日本はとても人件費の高い国になった訳で、当然グローバルな競争をする企業は管理職の数を減らし、顧客も担当するプレイングマネージャーを増やし、挙句の果ては成果給を導入したりしたわけです(少々乱暴な議論ですがわかりやすく説明するためご了解ください)。

 

私が社会に出た頃の部長は、朝出社して新聞を読んでいることが普通でした。余裕をもって部下の顔色や仕事振りをみることができたと思います。今は、そんな余裕のある管理職なんていないでしょう。つまり、国際化による競争が、私たち管理職に大きな負荷をかけているのです。

 

もうひとつはもっと深刻です。それは経済力の低下に関することです。日本というよりはG7に代表される先進国のGNPが、全世界の中で縮小傾向が鮮明になった今、若い人たちの価値観は大きく変わりだしていると思います。

 

今の40歳以上は総じて「明日は必ず豊かになる」時代に育ったとすれば、今の若者は「日本や世の中は全体として成長しない」世の中に育っています。この影響は計り知れないものがあると思います。早期離職やキャリア短期志向などの背景はここにあるような気がしてなりません。

 

さて、このようなことが管理職の方々にどう影響しているのでしょうか。それは、自分の尊敬する上司のやり方をそのまま部下に応用できない、という現象です。私は、上司の部下育成とは、自らの成功体験が組織の中を脈々と遺伝するものであろう、と考えており、そういう意味では、自分を鍛えて育ててくれたその方法論が通用しないとすると組織は血管が詰まった状態になってしまいます。

 

具体的に見ていくと、今の上司の方々から見て「お世話になった上司」の方々は、言葉によるコミュニケーションや改まった面談などはあまり得意ではありませんでした。前回の「以心伝心」ではありませんが、悟る、察するという世界の中に、上司と部下のコミュニケーションが成立していました。いわゆる「行け。やれ。だめ。」などの二文字で凝縮する言葉のやり取りが中心でした。

 

そういう上司に育てられた私たち現在の管理職は、相手の多様化に合わせて、コミュニケーションを積極的にとる現代版マネジメント方法に、正直大きな違和感を感じざるを得ません。これを時代の変化として了解して、実行していかなくてはならないところに私たちの悩みがあるのです。

樋口弘和

▲このページのTOPへ

コラム

プライバシーマーク 東京ワークライフバランス認定企業